
答え:生地の状態を整え、次の工程へつなぐため
小麦粉と水などを混ぜてすぐの生地は、水分のなじみ方や伸ばしやすさが一定とは限りません。製麺では、生地をしばらく置き、次の圧延や切り出しへ進める方法があります。この休ませる工程を「熟成」と呼ぶ例があります。発酵食品のように微生物が味を作ることと、同じ意味で使われているとは限りません。
農林水産省が紹介したそうめん製造業者の例では、こねた麺生地を麺圧機で回転させながら30分ほど熟成させ、生地がなめらかになり、グルテンが落ち着くと説明しています。ただし、そうめんの手延べ工程を、ちゃんぽん麺の共通工程としてそのまま当てはめることはできません。
同じ言葉でも、どこで休ませるかが違う
「熟成」の対象は、こねた生地の段階、延ばした麺帯の段階、切り出した後の麺など、製品や製法で変わりえます。長崎県の製麺会社・五島製麺は、自社のラーメンやちゃんぽん麺に「低温熟成・冷風乾燥製法」を採用し、約60分かけると公式サイトで説明しています。これは同社の乾燥工程を含む製法の説明で、ほかの製麺所にも同じ時間や温度が必要という意味ではありません。
麺の形を作る工程に関心があれば、ちゃんぽん麺が丸い一本になるまでも参考になります。粉の配合、生地の厚み、切り刃、加熱や乾燥まで含めて製品は作られるので、休ませた時間だけで完成品の食感を判断するのは難しいものです。
「何時間熟成」だけでは、食感を比べられない
長い時間を表示した商品が、短い時間の商品より必ずよいという基準はありません。比較するなら、まず生麺・ゆで麺・乾燥麺など、購入時の状態をそろえる必要があります。麺の状態と保存の違いでも、状態が変われば調理方法が変わることを整理しています。
ちゃんぽん用なら、表示された調理方法でスープと具材に合わせたとき、麺の口当たりがどう変わるかを見ます。鍋で仕上げる時間、麺の太さ、スープの量が違えば、同じ麺でも印象が変わります。製造方法の言葉は手がかりですが、選ぶ決め手は実際の用途です。
製麺所へ聞くなら、工程名より使い方
製麺所の配合や温度を聞き出さなくても、厨房でどう使うかを伝えれば、試作で比べる条件を決められます。「熟成」という言葉の長さより、目指す一杯に必要な麺の状態を確認する方が、仕入れや調理に役立ちます。
- 納品時の状態は生麺、ゆで麺、冷凍麺、乾燥麺のどれか。
- 加熱前の下ゆでが必要か。具材・スープと合わせる目安は何か。
- 食べるまで時間が空く用途なら、その条件で食感をどう確認するか。


