
粉、液体、気温。始まりは混ぜ方から
長崎ちゃんぽんの麺を食べるとき、丸くてつるりとした一本の形が目につきます。その形は、最後に切る機械だけで決まるのでしょうか。水谷製麺所が公開する工程では、まず小麦粉と唐灰汁を使い、原料を混ぜてそぼろ状の生地を作ります。製麺の出発点は、麺線を作る前の生地です。
唐灰汁はかんすいの一種で、ちゃんぽん麺の風味に関わります。ただし、唐灰汁だけで食感が決まるわけではありません。三和製麺は自社の製麺について、気温や湿度に応じた加水率、混合、麺生地への成形、休ませ方、切り込み、ゆで時間などを調整すると説明しています。いくつもの工程が連なって、食べる一本になります。麺と唐灰汁の関係も合わせて読むと、材料と工程の役割が見えます。
そぼろ状の生地を、帯へ
最初から滑らかな塊を作るのではなく、混ぜた材料をそぼろ状にしてから、圧延して帯状の生地にします。水谷製麺所の工程では、これが「麺帯」です。帯にして厚みを整えていくことで、次に麺線へ成形するための土台ができます。
家庭で麺を作るときのように、包丁で一本ずつ切る場面を想像するかもしれません。工場では生地を一定の幅へ送り、製品に合う形で連続して成形します。ただし、使う機械や工程の細部は製麺所と商品によって違います。ここで紹介するのは、公開資料で確認できる一つの例です。
麺線を丸く、太めに成形する
水谷製麺所の資料では、帯状の生地から麺線を太めで丸く仕上げる工程が示されています。丼で見ると簡単に見える丸い一本も、生地の厚み、成形の幅、伸び方がそろって初めて、ゆでた後の口当たりが安定します。
「ちゃんぽん麺は必ず何ミリ」と一つの数値で決めることはできません。三和製麺の商品には太麺と細麺のちゃんぽん用麺があります。麺線の形は、鍋でどのように仕上げ、スープと具材の中でどう食べられるかに合わせて選ばれます。ちゃんぽんの麺とラーメン・うどんの違いで、食卓での役割も紹介しています。
ゆでて、冷やして、店や家庭へ
水谷製麺所が示すゆで麺の工程では、成形した麺をゆで釜へ通し、その後に冷却します。ここで形を整えた麺が、調理する人の手元へ届きます。公開資料にある冷却条件は同社の一例で、全てのちゃんぽん麺に共通する規格ではありません。
一方、ちゃんぽん用麺には生麺もあります。店でゆでるのか、工場でゆでた麺を使うのかで、鍋に入る前の状態は変わります。生麺・ゆで麺などの状態の違いを確認しておくと、同じ「ちゃんぽん麺」という名前でも調理手順が違う理由が分かります。
次にちゃんぽんを食べるときは、具の間から麺を一本だけ見てみてください。その丸みと歯ざわりには、粉を混ぜるところから、帯にし、成形し、必要に応じてゆでるまでの作業が重なっています。


