小浜の海と温泉街を望む食堂で、湯気の上がるちゃんぽんを置いた想像イメージ

水曜日|長崎をたどる

ちゃんぽん

小浜ちゃんぽんを知る。温泉の町に根づいたもう一つの一杯

長崎ちゃんぽんの話は長崎市だけでは終わりません。海辺の温泉地・小浜では、土地の暮らしと店ごとの工夫の中で、もう一つのちゃんぽん文化が育ちました。

小浜の海と温泉街を望む食堂で、湯気の上がるちゃんぽんを置いた想像イメージ
小浜の海辺でちゃんぽんを食べる雰囲気を表したイメージです。実在の店舗や提供料理の写真ではありません。

小浜は、長崎県の海沿いにある温泉地

長崎県雲仙市の小浜温泉は、橘湾に面した温泉地です。旅先で「小浜ちゃんぽん」という名前を見つけると、長崎市のちゃんぽんと何が違うのか気になるでしょう。答えは、全店共通の特別な麺があるというより、温泉の町で受け継がれた料理と、各店の味の違いにあります。

農林水産省は、長崎県のちゃんぽんを紹介する中で、小浜町の温泉旅館組合などが小浜ちゃんぽんを使った催しや地域おこしを進めていると記しています。長崎の一杯が別の町でも日常の食事になり、町を訪れる理由にもなっているのです。

海を渡って伝わったといわれる

長崎県観光連盟の取材記事によると、かつて長崎の茂木港と小浜港を結ぶ航路があり、温泉客の往来とともにちゃんぽんが小浜へ伝わったといわれます。船に乗って人が行き来した道筋を思うと、料理が広がる様子が具体的になります。

ただし、「何年にどの店が最初に作った」とまで示す資料として受け取るべきではありません。航路と人の往来を背景に伝わったという説明です。長崎ちゃんぽん誕生の歴史に登場する四海樓の物語と、小浜で食べ続けられてきた話は、別の段階の歴史として読むと分かりやすくなります。

一軒ごとに違うところが面白い

同じ観光連盟の記事では、小浜の一杯について、長崎市で一般にイメージされるものよりあっさりしたスープと感じる店があること、卵や殻付きのえびを添える店があることなどが紹介されています。これは小浜のすべての店に当てはまる決まりではありません。

店を変えて食べるなら、まずスープを一口。それから麺の太さと弾力、野菜や魚介の種類、卵の有無を比べてみてください。どの店も「小浜ちゃんぽん」だから同じ味、というより、土地の名前の下にそれぞれの店の一杯があります。地元で長く食べられる料理の楽しさは、その幅にもあります。

長崎のちゃんぽんは、一つの町だけのものではない

ちゃんぽんが長崎市で生まれたという話はよく知られています。けれども、その後の一世紀余りに、麺と料理は県内外へ広がりました。小浜ちゃんぽんは、その広がりが観光用の看板だけではなく、町の食事として根づいたことを教えてくれます。

温泉に入り、海を見て、店で一杯を食べる。同じ「ちゃんぽん」でも、食べる場所と店の手つきが変われば記憶に残る味も変わります。長崎市の一杯を知っている方こそ、小浜では違いを探すだけでなく、その町の一杯として味わってみてください。

小浜ちゃんぽんは、長崎県小浜温泉の食文化として育ったちゃんぽん。スープや具材に一つの固定した形があるわけではなく、店ごとの違いも魅力です。

参考資料

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