
「一人一皿」とは限らない
皿うどんを一人前ずつ注文し、自分の皿で食べる。もちろんそれも普通の楽しみ方です。一方、長崎には何人分もを一つの大皿に盛り、みんなで取り分ける風景があります。長崎市の観光サイトは、三人前、四人前を出前にすると、人数分が一皿に盛られて届くと紹介しています。
農林水産省の郷土料理紹介にも、親族が集まる盆や正月、来客の席で、近所の中華店から大皿の皿うどんを出前で取る習慣が記されています。毎日の食事でもあり、人が集まる日の料理でもある。皿うどんのもう一つの顔です。
大皿が運ぶのは、食べる量だけではない
人数分を別々の器に盛るのとは、大皿を真ん中に置くのとでは、食卓の動きが変わります。小皿へ麺と具材を取り分け、好みの量を選び、会話を続けながら食べる。大皿だからこそ、子どもと大人が同じ一皿を囲めます。
これは、長崎のどの家庭も同じ方法で食べるという話ではありません。集まる人数や店によって皿の大きさも具材も変わります。それでも、来客に一皿を出して分け合うという姿からは、皿うどんが単なる持ち帰りの便利な料理ではなく、もてなしにも使われてきたことが見えます。
出前という届け方とも相性がよかった
長崎市の読み物には、急な客を迎えるときに皿うどんの出前が役立ったという話もあります。料理を何品も用意する代わりに、具だくさんの大皿が食卓へ届く。長崎で暮らす人の手近に中華店があり、皿うどんを頼めたことが、この食べ方を支えてきたのでしょう。
ただし、細麺の皿うどんは時間がたつと、あんに触れた部分からやわらかくなります。店で食べるときのパリパリ感と、出前の後に食べるときのしんなり感は同じではありません。農林水産省は、翌日の皿うどんを好む家族もいると紹介しています。食感が変わることまで含めて、家庭ごとの好みがあるのです。
長崎で食べるなら、皿の大きさにも目を向けて
旅行先で皿うどんを食べるなら、一人前の皿だけでなく、複数人で分けられる大皿があるか見てみてください。料理の量や注文方法は店ごとに違うので、人数に合わせて確かめるのが確実です。
大皿を囲むと、揚げ細麺の乾いたところ、あんがなじんだところ、具材の多いところが一皿の中にあります。取り分ける人によって違う一口になるのも面白い。取り分けた後にソースを合わせる食べ方は、長崎の皿うどんとウスターソースの記事でも紹介しています。長崎で皿うどんが親しまれてきた理由を、料理そのものだけでなく、誰とどう食べるかからも感じられます。


